ジャズとクラシック音楽日記

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 蓮實重彦「表層批評宣言」

<<   作成日時 : 2007/04/05 16:10   >>

トラックバック 0 / コメント 6

「ジャズ宣言」「シュールレアリスム宣言」と宣言が続いたので、ついでに表層批評も宣言してみる。蓮實重彦先生の「表層批評宣言」。表層批評宣言

この本は私が会社に入ってしばらくして出版された。どういう経緯でこの本を知ったかはよく覚えていないが、当時哲学に結構興味があって本を色々買っていたので、新刊紹介のようなもので知ったのだと思う。哲学書一般もそうだが、この本も極めて難解。でもその難解さが結構快感だったりする。最初の一文を引用させていただく。

「たとえば「批評」をめぐって書きつがれようとしながらいまだ言葉たることができず、ほの暗く湿った欲望としての自分を持てあましていただけのものが、その環境としてある湿原一帯にみなぎる前言語的地熱の高揚を共有しつつようやくおのれを外気にさらす覚悟をきめ、すでに書かれてしまったおびただしい数の言葉たちが境を接しあって揺れている「文学」と呼ばれる圏域に自分をまぎれこまそうと決意する瞬間、あらかじめ捏造されてあるあてがいぶちの疑問符がいくつもわれがちに立ち騒いでその行く手をはばみ、そればかりか、いままさに言葉たろうとしているもののまだ乾ききってもいない表層に重くまつわりついて垂れさがってしまうので、だから声として響く以前に人目に触れる契機を奪われてしまうその生まれたての言葉たちは、つい先刻まで、自分が言葉とは無縁の領域に住まっていたという事態を途方もない虚構として忘却し、すでに醜く乾涸びたおのれの姿をもはや郷愁すら宿ってはいない視線で撫でてみるのがせいぜいなのだが、そんなできごとが何の驚きもなく反復されているいま、言葉たるために耐えねばならぬ屈辱的な試練の嘆かわしい蔓延ぶりにもかかわらず、なお「批評」をめぐって書きつがれる言葉でありたいと願う湿った欲望を欲望たらしめているものが、言葉そのものの孕む不条理な夢の磁力といったものであり、しかも、その夢の目指すところのものが、言葉自身による「批評」の廃棄というか、「批評」からそれが批評たりうる条件をことごとく奪いつくすことで「批評」を抹殺し、無効とされた「批評」が自分自身を支えきれずに崩壊しようとするとき、かりに一瞬であるにせよ、どことも知れぬ暗闇の一劃に、人があっさり「文学」と呼んでしまいながら究めたこともないものの限界、つまりはその境界線を投影し、かくして「批評」の消滅と「文学」の瞬間的な自己顕示とが同時的に進行すべく言葉を鍛えておきたいという書くことの背理の確認であるとすれば、誰しも、おのれ自身の言葉の幾重にも奪われているさまに改めて目覚め、書き、そして読むことの不条理に意気阻喪するのもまた当然といわねばならぬ。」

あ〜疲れた。わかります?この文章。でも嫌いじゃないですね。噛みしめていたらなんとなく味が出てくるような感じ。でもこれって見てわかるようにこんな長いのに丸(句点)は最後に一個だけなんです。今まで読んだ文章の中でこれが一番長かったような気がします。

「である調」が「ですます調」になっちゃいましたね(^^ゞ。
表層批評宣言 (ちくま文庫)

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
テーマのところに、一種異次元の世界を見るかのような、哲学、と言うのを見つけまして、実は何回も訪れて、この文章を読んでいます。私はこの本を手にした事はありませんが、なぜかウキウキしました。
それにしても、よくここまで丁寧に転記しましたね。もしかしたら、暗記してますか?
mamaten
2008/02/05 01:21
>暗記してますか?
まさか!こんな難解でしかも何行にもわたって句点のない文なんて記憶力のほとんど無い私にはとても覚えられません。ちなみに高校のとき世界史&日本史は最悪でした。特に日本史の近現代史は脳みそが笑っていました。

でも何回も訪れていただいていたなんて嬉しいです。

この文章、なにか言葉が生まれて世に出て来てその後の変遷までイメージされ、楽しい?気がして好きなのです。
インキーパー
2008/02/06 00:46
そうですよね、あまりに長すぎますよね。本を読んでみようかと、ポチッとしたのですが、無いようなので。
この本の主題を、この一文で表現しているように思われますが、如何でしょうか。哲学は私は学んでいませんが、専門書は中々手が伸びませんが、一般向けに易しく書いたものはよく読みました。哲学そのものが好き、と言うより、その言葉の広がりが、おそらくそれを楽しんで、あるいは苦しんで、鎖のように繋がる言葉を描く事を、別の目線で冷静に見ながら書いているだろうことをそこに想像して、それが面白かったのです。だから、あまり中身は覚えていないのです。

こんな本があるとは知りませんでした。田舎の、古い本屋さんならあるかなぁ。でも今時はあると思っていた本屋が、行って見たら、無かった、なんて事、よくありますから、どうでしょうか。少し、探して見る事にしましょうか。
mamaten
2008/02/06 01:21
私、この本、単行本と文庫本の両方持っていますので、よかったら文庫本を贈ってもいいですよ。エキサイトの非公開コメントでも住所・氏名を入れていいただければ・・・。
インキーパー
2008/02/06 10:30
今日会社の帰り、市内の、古くからある本屋さんを3件覗いてみましたが、昔と違ってこじんまりと規模を小さくしいて、もちろんget出来ませんでした。
いつもはamazonか楽天でネット購入でしたので、地元の本屋さんは暫くぶりでした。スーパーに入っている本屋ではこの種のものはぜんぜん置いて無いですから期待して行ったのですが。

ありがたいお申し出なのですけど、せっかくお持ちのものを頂いてしまう訳には参りません。もし、手放してもいい、と言うのであれば、購入した時の金額で結構ですから譲っていただく事は出来ませんか。今すぐ、是非に、と言う訳では有りませんので、いつでも結構です。

何か、ここで変な話になってしまいましたね。
mamaten
2008/02/06 22:59
購入価格は440円です。が、結構周りが焼けていて黄ばんでおり(元の色も黄色なのですが(^_^;))、買ったときの価格というのも気が引けます。郵便局に聞いたところ、送料はおそらく180円で大丈夫だろうと言うことでした。

送料込みの440円で如何でしょうか。ていうかこれ位の料金をやり取りするのもなんですので、こちらとしては贈らせていただいても結構なのですが・・・。もしくは読んでしまった後、送り返していただいても結構です。

メールで住所、氏名、電話番号などお知らせ下さい。
mi-zu-no@mxa.mesh.ne.jp
インキーパー
2008/02/07 18:34

コメントする help

ニックネーム
本 文